オールドヴァイオリンJAPAN 

オールドヴァイオリンジャパン

Ercole Foderà 1928 Roma

Ercole Foderà 1928 Roma

2022年春に、ヨーロッパの某有名ヴァイオリンディーラーを経由してこちらの楽器が紹介されます。このヴァイオリンメーカーの生誕から、亡くなるまでの書類を専門のリサーチャーに助けてもらい、1年間という長い時間を掛けて制作してまいりました。

この書類の発表により、シチリア及びローマによる弦楽器制作の歴史に、新たな制作者の生涯がアップロードされる事になります。 この書類制作に関わって頂いたEU圏のヴァイオリンメーカー、そして弦楽器専門のリサーチャーに心より御礼申し上げます。


鑑定書 Carlson & Neumann

フローリアン・レオンハルト氏による考察

エルコーレ・フォデラのこのヴァイオリンを観察すると、最初に目立つのは、木材にわずかに浸透した、やや薄いが美しい色のオレンジ/赤のニスです。 これは、下地が十分に慎重に密閉されておらず、代わりに明るい色のより黄色のワニスが代わりに使用されたためです。
 
まだ開いている木材の気孔を簡単に観察できますが、気孔の充填剤としても機能するこの黄色のワニスで覆われており、その上にオレンジ色のワニスがコーティングされています。このヴァイオリンは確かに非常にきれいな状態であり、過剰な研磨、レタッチ、過剰なニスの塗布は一度も行われておらず、表面の構造を今でも見ることができ、色のニスがどのように木材に染み込んで定着したかを観察することができます。
 
これは、例えば、スクロール、ペグボックスとネックの間の移行部など、ワニスがわずかに薄れている箇所で確認できます。 ヴァイオリン全体が整然としており、非常にきれいで丁寧な仕事をしています。たとえば、スクロールの構造は、ストラディヴァリのスタイルで非常に慎重に彫られており、美しい強い面取りと、均等に開く非常に安定した螺旋を備えています。
 
スクロールを観察するとき、螺旋の前面のスペースの量と同じである、ペグボックスの背面の側面により多くのスペースを持たせることにより、目は光学的に中央に配置されます。 面取りは、単に丸くするだけでなく、目の中心まで慎重にカットされます。ペグボックスの裏側を見ると、背面は非常に慎重に鋭く彫られており、背面が半円と交わる端にはわずかにセンターマークが見られます。
 
また、彫刻により、他のメーカーのように丸みを帯びた方法ではなく、背が鋭く終わるようになっていることがわかります。スクロールも同様に、鋭い面取りで慎重かつ正確に彫られています。 表板と裏板のコーナーは短めで、やや丸みを帯びており、パーフリングの先端は鋭い終わり方ではありません。代わりに、それらは少し率直に結合されています。 f ホールの形状は非常に美しく、これもストラディヴァリ モデルに基づいており、比較的大きく鋭い刻み目があります。ただし、Fホールの目ははわずかに卵形で、おそらく糸鋸でfホールを開けたのちにナイフでのカッティングがなされています。
 
エッジワークに戻ると、エッジの面取りは外側の 3 分の 1 にあり、これはほとんどのイタリアのメーカーと同様に典型的で伝統的な特徴であり、丸みがあまりなく、浅い彫り込みで形成されています。木材の選択は当時の南イタリアでは非常に典型的なものであったため、この木材が成長しなかった南イタリアでバイオリンを製造した他のメーカーと同様の木材源から来た可能性があります。この木材は、非常に不規則な木目を持つ半分のスラブ カットの裏面であり、興味深い美しい虎杢の材料が使われています。
 
一方、表板は中央部分がとても綺麗な材料です。 2 ピースの表板で、側外側に行くにつれて繊維が広くなります。アーチはフラットで深すぎず幅も広くなく、非常にモダンなテイストで、ストラディヴァリのアーチに基づいてうまく機能するように作られています。
2022年11月  フローリアン•レオンハルト氏と
The Violin Society of America ロサンゼルスのアナハイムにて

お問い合わせCONTACT

ご来店は完全予約制となりますのでご予約をお願いいたします。 不定休での営業になりますが、土日、祝日でも可能な限りご対応いたします。

お電話からのお問い合わせも可能ですが、なるべくご予約フォームより入力いただけると助かります。 (お問合せの内容が残り、より正確なレスポンスができます)
025-282-5310